2020年9月にQUIKSILVER WETSUITS(クイックシルバー ウェットスーツ)から発表され、瞬く間にユーザーからの支持を得ることとなった新システム「HYBRID U-ZIP SYSTEM」(ハイブリッド Uジップ システム)。「機能性」「保温性」「耐久性」など高レベルで実現した革新的システムはこの春にフルスーツ、シーガル、ロンスプにてブラッシュアップされ、ニューモデル「EVERYDAY SESSIONS」としてリリースされる。
そんな最先端の技術がつまった最新ウェットスーツは2022年3月に発売予定だが、一足早く試着させてもらったのでその様子をレポートしていきたい。
「機能性」「耐久性」を両立したクイックシルバーのHYBRID U-ZIP SYSTEM
動きやすさと温かさの両方を高レベルで実現した「HYBRID U-ZIP SYSTEM」(ハイブリッド Uジップ システム)は、冬のシーズンのウェットスーツによく用いられている”ロングチェストジップシステム”の利点である高い防水保温性と着脱の容易さと、そして春のシーズンによく用いられる”チェストジップ”の高い運動性の長所を融合し短所を抑えているのが最大の特徴。
さらに「ジップは曲げられない」という概念を覆し匠の技と知恵によって「U」の形にまでもっていった、ことが「ハイブリッドUジップ」の名称の由来になっている。
ジップはしっかりと曲がっているが波打たないように設計されている。フレックスファスナーの採用と生地の配置、フィット感を改善することで、ロングチェストジップの欠点であるオーバーサイズ設計によるスーツの重さや運動性の制限、そしてチェストジップの防水保温性の低さを同時に解決した。
フラップを取ったり、着替える時にはしっかり背中の後ろに垂れるようなレイアウトになっているので、生地を痛めつけない配慮がされている。
ロングチェストのジップの位置だと、フラップを開けた時に肩の部分が引っ張られ生地が劣化しやすい傾向があるので、このハイブリッド Uジップの痛みにくい設計でカバー。
開口部は非常にシンプルでかなり開くので、バックジップに近いかそれ以上に脱ぎやすい構造になっている。
ウェットスーツの壊れる一番の原因は着脱であるが、このウェットスーツは着脱時の生地への負担が少ないので耐久性に繋がっている事がハイブリッドUジップの一番の特徴。
着脱がしやすい=エントリー開口部が広い=水が入ってきやすい、という従来のウェットスーツの短所をUジップのフラップで「蓋」をすることにより、開口部を広く保ちながら水が入ってきづらい構造になっている。そのため着づらい、脱ぎづらい、水が入ってくるといったストレスがないというのがポイント。
加えてこの着脱性の改良により、ウェット生地に余計な負荷が掛からず永く使用できサステイナブルに繋がっている。
開口部付近の前後は、首やファスナーから浸水した水がより素早く外部へと抜ける構造になっている。
TECH FEATURES~随所に搭載されたその他の性能
EVERYDAY SESSIONSは代表的な新機能”HYBRID U-ZIP SYSTEM”の他にも細部にわたって改良が加えられ、さまざまな機能が進化している。さらに環境への配慮も図られていることにも注目しその各所を紹介していこう。
サステナブルなウェットスーツ裏素材”Re:BLUE”
日本国内のみで回収されたペットボトルをリサイクルした再生糸「ECO BLUE®」を使用したサスティナブルな伸縮新素材を裏側肌面に使用している。
開口部や膝の部分以外の9割近くは鮮やかな水色のRe:BLUEを使っている。
通常ウェットスーツの接合部表面にはすくい縫いがされており、裏面に貫通はしていないので針穴がなく完全防水となっている。
しかしウェットスーツを使っていくうちにだんだんとその針穴が広がり中層のゴムも経年劣化していく。使用していく内に水が浸みてくる原因である。特に股の部分は、波待ちをしている時にボードにまたがっているため足を開き一番負荷がかかる状態なのでその針穴の広がりを軽減するためにテープが貼ってある。フルスーツとシーガルには標準で装備されている。
耐久性とパフォーマンス性を考慮し2種類のゴムを使用
EVERYDAY SESSIONSは、お尻と股の部分には耐久性をつけるために硬いゴムが使われている。波待ちをして板の上にまたがっている時間が多いのでどうしてもゴムが潰される状態になり生地が劣化したり薄くなる。さらに、足を広げている時間は生地に負荷がかかっている状態だ。劣化しやすい部分には硬いゴムを使う事で耐久性を向上させている。
その他の部分は着脱やパフォーマンス性のために柔らかいゴムを使用しているなど中層のゴムにまで配慮し適材適所で配置しているこだわりようである。同時に長持ちして壊れにくいウェットスーツを作ることでサスティナブルにも繋がっている。通常のウェットスーツの寿命が2〜3年だとするとそれ以上は使えるコンセプトで作られている。
タフジャージ *オプション
ロングボーダーなどはよく肘をつくためその部分のダメージが多くなるが、タフジャージを付けることにより表面強度を強くできるのも魅力の一つ。
今回試着したロンスプにこのタフジャージはついていたが、ジャーフルにもオプションでつけることが可能だ。
ダメージがつきやすいお尻や股の部分以外にも一番硬いゴムを使用することで耐久性を強化できる。
メッシュラバー*オプション
クラシックスタイルを求める方には胸や背中にメッシュラバーがオプションで追加できる。
360° FLUSH LOCK WRIST *オプション
ドーナッツ形状のテーパード裏スキン360° FLUSH LOCK WRISTはオプションで追加可能。
経は小さいが、接合部が無いので360°きつ過ぎない程よいフィットで肌部に密着し、手首からの海水の浸水を軽減する。
裏スキンで肌により密着するように作られているので水の入りを少なくできる。
腕の入り口の部分が通常のものとは全然違うので、水の入りを抑えたい人にはおすすめしたい機能だ。
なみある?レビュー「フィット感があるのに動きやすい! 着脱も楽なウェットスーツ」
なみある?スタッフの体型は身長169.5cm 、体重63kgで、今回は試着したウェットスーツは全てMLサイズ(身長170cm/62kg基準)を着用した。
ウェットスーツはどれも柔らかい生地で触り心地も良く、伸縮性があり開口部はとても開きやすい。
裏生地がスッと肌に馴染む感じで着られるので、足首を入れてからがスムーズに上半身まで持っていけ、腕を通し肩までストレスがなく、従来のウェットスーツと比べると着替えやすく、時間もかからず直ぐ着られる感じだった。
ジップ閉める時も、立った姿勢のまま片手を上げて首の後ろのジップに手が届き、両肩にかけて広がったジップのスライドもスムーズに閉める事ができた。
背面ジップよりはるかに楽な印象だ。
ジップを閉めきった後、程よいフィット感はあるものの、首もとや肩・肩甲骨の可動域が締め付けられず、柔らかい生地と伸縮性の良さで、非常に動かしやすい。これなら水中でもパフォーマンス性が損なわれない事も納得できる。
またウェットスーツを着てみて驚かされたのは、生地を軽く摘んでも空気は入らないしっかりとした密着性があるのに、動きやすく、手首や足首なども伸縮性があるので、無理に力を入れることなく楽に着脱できる点だ。
今回360° FLUSH LOCK WRISTをつけたフルスーツについても、フィット感はあるが、締め付けられず、全く違和感がない着け心地だった。
時計を内側にしまった状態でも、従来のウェットスーツならば多少隙間ができてしまうが、この腕回りだと隙間がなく水が入りづらい構造になっている。
「水の入りが少なく、動きやすいウェットスーツ」
実際に水中で使用した感じはQUIKSILVERのライダー陣やクラフトマンのコメントを参考にして欲しい。
大野修聖(Mar)は2月の伊豆エリアで4/3mm冬仕様のHUZを使用し、「ウェットスーツというよりもドライスーツに近いくらい水の入りが少なく、波待ちの時は暑いと感じるくらいだった」とコメント。
ウェットスーツにコンプレッションのあるタイトさと、肩回りの動きやすさを重要視するMarはこの着脱性や水が入りづらく保温性がキープできる点を絶賛。
普段からギアには厳しい眼をもち細かな指摘をする五十嵐カノアだが、3/3mm冬仕様のHUZを1月のカリフォルニアで使用した時は「動きも良く入水なし最高」と珍しいコメント。
伊東李安琉は、昨年10-11月のQUIKSILVER Global “YOUNG GUNS” Sessions in FRANCE/SPAINで HYBRID U-ZIP FULLSUITを使用。ヨーロッパのパワフルで冷たいコンディション下、まずは「あったかい」というコメント。続いて「動きやすくてとにかく調子がいい」エアーやチューブまで異次元のサーフィンを魅せ、普段から寡黙な彼から「保温性」に関する声が最初に出たのは興味深い。
企画開発者からは、「アウトが遠く、波のサイズがあるドルフィンスルーを繰り返す時でも、ロングチェストジップのスーツ自体がもつ「重さ」や「オーバーサイズによるストレス」が、ハイブリッドUジップでは劇的に軽減されました。何よりもサーフィン後に着替える際に体が全く濡れていない日があったのには驚きました。」とコメント。
これから水温が上がり海に入りやすい季節にはなるが、このハイブリッドUジップシステムでウェットスーツの入水のストレスをおさえられ、ジャストめのフィット感があって動きやすい点はサーファーにとっては嬉しい。海流の影響で水温が冷たくなる時など特に重宝してくれるだろう。
スタイルが選べるロゴパターン
目指すサーフスタイルや選ぶギアなど、サーファーのニーズはさまざま。「EVERYDAY SESSIONS」はどんなサーファーにも馴染むロゴデザインでスタイル(=サーフカルチャー)を表現している。
1. コンペティターを始め全てのサーファー向けQUIKSILVER伝統のオーセンティックロゴ”OMNI LOGO”
2. ロガーはもちろんクラシックサーファーにおすすめしたい70年代を彷彿とさせるヴィンテージゴールデンロゴ”GOLDEN”
3. ツインやミニボードなどスタイル重視の個性溢れるサーファーにも推奨したいフレイム&ユニークロゴ”FLAME”
配置する位置もロゴパターンによって異なるこだわりの仕様で全3パターンの中から選択可能。但しパターンのミックスやカスタムクリップ位置の変更はできない。
FULL/SEAGULL/LS SP/SS SPの4種のスーツ全て対して、いずれかひとつのロゴパターンを選んで入れることが可能となっている。
ウェットスーツオーダー方法について
水が入りづらく、動きやすく、長持ちする革新的なウェットスーツ「EVERYDAY SESSIONS」は指定サイズだけではなくQUIKSILVER WETSUITS取扱販売店でのカスタムオーダーが可能となっている。
▼EVERYDAY SESSIONS 購入可能店舗リスト
https://namiaru.tv/news/?page_id=79338
▼QUIKSILVERカスタムウェットスーツカタログページ
https://www.quiksilver.co.jp/surf/mens/mens-custom-wetsuits
全てのセッション、どんなシーズンにもストークするサーファーのために開発しているQUIKSILVER WETSUITS。実際にQUIKSILVERライダー陣のみならずファクトリークラフトマン、企画開発者の声を元に膨大な調整を繰り返して開発された最新ハイブリッド Uジップシステムを搭載した「EVERYDAY SESSIONS」。幅広いサーファーに響く「デザイン性」に加え、「機能性」「保温性」「耐久性」も進化してリリースされたニューモデルを是非体感していただきたい。
QUIKSILVERについて
ボードライディングスポーツのリーディングカンパニーのクイックシルバーは、1969 年にオーストラリアのサーファー、アラン・グリーンとジョン・ローの二人によって、パフォーマンス性とファッション性を兼ねたボードショーツ創りからその歴史をスタートした。
サーフィンに対するノウハウと哲学を基に、高品質かつ斬新なスタイルを組み込んだ優れたボードショーツは、瞬く間に世界中のサーファーへと広がった。 1986年には、スノーウェアマーケットにも参入。地味なデザインが多かったスノーウェアに、ネオンや、原色を使ったボードショーツの柄を取り入れたことが業界に衝撃を与え、一躍注目を浴びる。
80年代中期には、スケートチームを結成。サーフカンパニーでは初めてスケートブランドとしての一面を持ち、ストリートウェアも展開する。
そして現在でもクイックシルバーは、世界トップクラスのサーフ、スノーのアスリートのサポートと、パフォーマンス性とファッション性を兼ね備えた最高のウェアとギアを提供している。ボードショーツ創りから始まったクイックシルバースピリットは色褪せることなく引き継がれ、今も尚、進化を続けている。
▼ボードライダーズジャパン株式会社
TEL:0120-329-190
https://www.quiksilver.co.jp