JPSA2021のロングボードツアーは第2戦が終了した。
第1戦の一宮プロと第2戦の9GATES.PRO太東と久しぶりに選手の板を取材してみた。
一宮ではジャンク気味のサイズがあるハードなコンディション、太東では小ぶりなサイズの、どちらにしても難しいコンディションだった。
そんなとき、選手はどのような板を選んでいるのだろうか?
そして、今シーズンはどんな板が主流となっているのか?
ここ数年、板はノーズライディングと当て込みを両立させるために、ノーズエリアはワイドで、テールは思いっきり絞りラウンドやラウンドピン、ロッカーは強めが主流となっていた。
フィンの設定もトライフィンやセンターフィンが小さい切り返しを重視したセッティングが多かった。
昨年くらいから、この流れに反し、ノーズはやや絞られ、テールはワイド。ロッカーはローでテールはキツ目にロッカーが付く。フィンもシングルフィンで参戦の選手が多くなってきた。素材はPU、EPSと半々くらいか。これは世界的な流れとなっているようだ。
第1戦の一宮と第2戦の太東から。
秋本祥平プロ
素材はPUで巻きは6OZ。全体的なロッカーはナチュラルだが、テールロッカーは強めにしている。幅は23無く、ノーズは細めでややピッグなアウトライン。軽くノーズコンケイブは入れている。テールは今の流行りを取り入れワイドでややくぼみをつけて気持ち切り返しやすく。フィンはやや立ち気味のフィンでテールエンドギリギリにセット。一宮の時は海面にコブがあったが潰していってくれるのでこの重めのセッティングは正解。自身のブランドのフェニックスというモデルで、森井シェイプ。
9’6” 22 7/8”
毎回協力してくれる堀井哲プロ
長さは91/2。最近はシングルフィンにしていたが、今シーズンは2+1に戻した。
素材はPUにしてレールはクラシック系のエッジはあまり立てずにルースな感じに仕上げた。今まではテールから70cmくらいしっかりエッジが効いていたのでかなりマイルドな乗り心地。ノーズコンケイブはしっかり長く入れている。
ユージン・ティールプロ
一宮ではEPSでアウトラインはスタンダードで大きな変更はないET2モデル。全体的にロッカーは強め。大きな変更としては、フィンをFSCからFutuesに変更。理由はFutuesの方がサイドフィンにキャンパーがついているモデルが多く、ついていた方が切り返しが早いから変更。サイドフィンは大きめをチョイスして、センターフィンは6.5。
9’1” 22” 2 21/32
太東では小波ということもあり、クラッシックなアウトラインのノーズライダー。ストリンガーはバルサで太め、フィンはベースが広めでトップは細めのレイクがある10を装着。
9’6” 22 1/2” 2 7/8”
岡田匡平プロ
シェイパーであるユージン・ティールとほぼ同スペックだが、ロッカーは強めにしている。HSモデル。
9’1” 22 1/4” 2 5/8”
ベテランの吉川祐二プロ
PU素材で自身のシェイプでこちらは2+1仕様だが、10のシングルで試合には出場。
ベテランで自身のシェイプで参戦の藤井辰緒プロ。
素材はEPSで、フィンのセッティングはサイドフィンはミディアムくらいにしてセンターフィンは6.5。ノーズライディングには厳しい面もあるが、そこはノーズエリアの広さでカバーする考えのセッティング。
9’1”/2 23 1/2” 2 5/8”
武藤龍寿プロ
シェイパーはマイケル・タカヤマ。長さは9’。このモデルとしてはコンペタイプの位置付け。ストリンガーは樹脂なので硬めのフィーリングが特徴。パラレルなアウトラインだがロッカーは強めでボトムはダブルコンケイブで広いテールの水の流れを良くしている。フィンはシングルフィンでノーズライディングを意識してセッティング。
真田和斗プロ
板はDEAD KOOKS。素材はPUでスリーストリンガーだけど、ラウンドテイルなのでフィーリングは軽い。フィンのセッティングはシングルフィンで、ベースはワイドでトップは細めのチョイスで、直進性、スピードを出し、ノーズを安定させるがターンの軽さもあるセッティング。
9’5” 23” 3”
西崎公彦プロ
シェイパーは尾頭プロで素材はEPS、ノーズ、テールは細めにしてやや重めの巻をリクエスト。ノーズライドは得意なので、サイドフィンはミディアムをつけテール周りにエッジをつけてターンをカバーしている。フィンの設定はあまり変えないほう。
西口京佑プロ
素材はEPSで重めの巻で、PUの軽めくらいの感じだが、ショートのプロでもある自分には重く難じるw。素材はEPSの反発が自分には合っているので。あまりコブを拾わないようにノーズコンケイブは浅めにしている。基本スペックはあまり変えない。ブランクスはキリフレックスで、軽く粘りがある。
稗田瞬プロ
素材はEPSでクロスで重めにしている。日頃はもっと薄く軽い板だが、これは厚め重めのセッティングで小波に対応。ノーズコンケイブは広くやや深くして、サイドフィンはミディアムくらいだが、センターは7.5のジョージグリーノを選択するちょっと珍しいセッティング。今後はシングルフィンも試していきたい。
9’1” 22” 2 1/2”
佐藤樹生プロ
素材はPUでロッカーは全体的にゆるくついて、テールロッカーは強めにしている。仕上げは軽めで、テールは流行りにのって採用したが、思ったより動きが軽くノーズも安定して良いフィーリング。フィンは10でレイクがついているものでノーズライディング中に引っかかるようにチョイス。
畑雄二プロ
太東ではテストの板を仕様。個性的なアウトラインが目を引く。テールは父親が乗っていたスティンガーの板からインスパイアされ、素材はEPSで幅は狭く、今までのノーズワイドなアウトラインから変え、ノーズも狭く。ロッカーは全体的についている感じ。めちゃくちゃ軽い仕上げ。フィンも最新のカーボンチタンのサイドフィン。
9’1” 22” 2 1/2”
第1、2戦と連勝した田岡なつみプロ
太東の小波の時の板だが、オールラウンドに使える。テール幅がありノーズに行きやすい。小波用はもっと重い1本があり、これはコンテストではノーズ、当て込みを意識して軽いバージョン。海外選手が使っているシングルフィンで、テール幅のあるタイプをシェイパーの尾頭プロにリクエスト。あとはお任せ。
9’2”
小高恵子プロ
マイケル・タカヤマのシェイプ。ノーズはポイントでテール幅は広めの比較的パラレルなアウトライン。フィンはシングルフィンでテール部分にくぼみをつけて切り返しを楽にするこだわりの1本。
小栗瑞恵プロ
アウトラインはコンペタイプとしてはスタンダードなノーズエリアを広めにしてテールを絞ったラウンドピン。ノーズライディングを安定させながら、得意なマニューバーを活かす板をリクエスト。フィンのセッティングは昔からあまり変えない。この板の特徴はノーズ部分のレールをめくってあり少しエッジがある感じ。このことをシェイパーの吉川氏に聞くと、これは吉川広夏プロが2+1に乗っているときにテストしてレールで、ノーズライドを安定させる効果がある。特にテールで板をコントロールする傾向の人がノーズにいった時、多少引っかかりがあった方がノーズライディングしやすいのと、2+1との相性が良いテスト結果からだそう。テールロッカーはあまり付けず、全体的なロッカーで調整している。
9’0” 22” 2 9/16”
大島みどりプロ
素材はPUでベーシックなアウトラインだが、テールは切り返しが良いソフトダイヤモンドテール。シングルフィンでテール部分はダブルコンケイブで水の流れをよくする設定。
9’1” 22 1/4” 2 11/16”
遠藤夕子プロ
素材はPUでスタンダードなアウトラインでテールはスカッシュ。フィンはシングルフィンで9.5をチョイス。
9’2” 22 1/16” 2 3/4”
ご協力いただいたプロの方、ありがとうございました。
ロングボード第3戦の千倉でも取材したいと思います!