5月29日(土)〜6月6日(日)まで、中央アメリカのエルサルバドルのEl Sunzal(エル・スンザル)と La Bocana(ラ・ボカナ)では、国際サーフィン連盟(ISA)によるオリンピックのサーフィン最終予選である世界戦2021 Surf City El Salvador ISA World Surfing Games(2021サーフシティ・エルサルバドル・ISAワールドワールドサーフィンゲームス)が開催されている。
Photo:ISA/Sean Evans
現地時間5/29(土)に開催されたオープニングセレモニーでの村上舜と松田詩野の写真
いよいよ現地時間5/30(日) 8:00 (日本時間 5/30 23:00※日本との時差は15時間)からメインラウンド1(R1)がLa Bocana(ラ・ボカナ)にてスタートする。
▼ISAワールドワールドサーフィンゲームス Day1スケジュール&ヒート表
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日本時間5/30(日)、サーフィン日本代表「波乗りジャパン」の試合直前のオンライン記者会見が行われ、各選手達、副理事、コーチがそれぞれ「2021 ISA ワールドサーフィンゲームス」に向けて胸の内を語った。
日本サーフィン連盟 副理事 宗像 富次郎
『東京オリンピックの最大の出場枠4を目指したい』
「『2021 ISA ワールドサーフィンゲームス』の最大の目標は東京オリンピックの出場枠を獲得する事です。日本は今のところ東京オリンピックの出場3枠を獲得していますが、最大の4枠を目指し、そして個人個人が最大限の力を発揮できるようにサポートしていきたいです。」
「現在、エルサルバドルに参加している選手達の中に新型コロナの陽性者が発生しているという事ですが、幸い日本のチームからは1人の陽性者も出ていないので、安堵はしていますが、どこで感染が広がるかわからないので、しっかりとしたコロナ対策、感染リスクを踏まえた上での選手ケアをしていきたいです。」とコメント
都筑有夢路
『この試合で優勝し、オリンピックでも金メダルを目指したい』
「個人戦ではありますが、日本の日の丸を背負うことに対して、自分の事に集中することも大事ですが、皆で団結していく事も、自分の勝利につながると思うので皆で協力していきたいです。」
「自分のサーフィンを試合で披露することが勝利につながると思うので、優勝目指して頑張りたいです。」
「このコロナ禍では千葉の一宮でサーフィンを練習していきました。 またトレーニングする時間もたくさんあったので、いつ試合があっても良いように準備してきました。」
「CTに出場できた事は凄く嬉しいし、勝っても負けても自分にとっては良い経験になっているので、これからもその経験を活かしていきたいです。」
「CTでは日本にないような波なので、海外用の下半身を強くするトレーニングをしてきました。CTの選手は全員意識しています。」
「ISA ワールドサーフィンゲームスの会場で練習しましたが、波の特徴はやわらかく、調整が難しいです。オーストラリアから直接きて、2日間しか調整する時間がなかったですが、長めのサーフボードを使用したら波にあったので、それで挑もうと思います。」
前田マヒナ
『クオリファイは目指しているが、1ヒートごとに集中していきたい』
ずっとハワイにいる間、トレーナーやコーチのもとでトレーニングを続けてきた前田は、現在ベストコンディンションだとコメント。
「ジャパンオープンの時は、ビックウェイブと試合のサーフィンのトレーニングを両方していて、凄く合うのでまたISAワールドサーフィンゲームスのためにビックウェイブトレーニングを同じルーティンで練習していました。メンタルが大事になってくるので、呼吸の練習からボディーフィットネスのトレーニングもしてきました。」
「サーフィンコーチはロス・ウィリアムスで、タティアナ・ウェストン・ウェブやジョン・ジョン・フローレンスらと一緒に、週1でビーチに集まりヒートの練習もしてきました。」
「今大会の会場であるエル・スンザルは、私のホームブレイク サンセットのような波で、メインブレイク(ラ・ボカナ)の方はカリフォルニアのローワ トラッセルズとロッキーポイントが混ざった感じの印象を受けました。これからラウンドをこなしていけば、おそらくラ・ボカナで戦う事もあると思います。」
「今年からエリックアイカワのサーフボードにスポンサーが変わり、家から近所なので、ジャパンオープンの時からよくコミュニケーションをとってきました。ハワイのように強い波ではないですが、自分のサーフィンとボードはうまく合わせられると思います。少し板のサイズを下げて今大会に挑みます。」
「東京オリンピック出場のことを考えると緊張してしまうので、1つ1つのヒートを集中し、最終的には選考できたら思います。」
五十嵐カノア
『今回の目標はチームをサポートして良い結果を出すこと』
エルサルバドルの前は、CT(チャンピオンシップツアー)の大会で3ヶ月間オーストラリアにいたというカノアは、CT戦をやっていた事でワールドサーフィンゲームスへの準備はできていると語った。
「このコロナの期間はポルトガルとカリフォルニアにいてゆっくりしていました。2020年は忙しかったはずですが、逆にコロナの影響でゆっくりできて、この時間は休息という意味で必要だったと思います。だからオリンピック、ISA,CTの大会と100%のエネルギーで臨めます。」
今大会を出場すればオリンピック選手が確定となるカノアは、今回の目標はチームのサポートして良い結果を出すことだとコメント。
「勝つことは凄く大切で、オリンピック選考かかっているので、チームのサポートは自分がよい結果を出すことがチームのサポートにもつながります。皆を盛り上げて、皆が良いパフォーマンスできるようにサポートしていきたいです。」
「コロナ禍で東京オリンピックに関してはコントロールできない事ですが、そのための準備はできています。コントロールできない事にはエネルギーは使わず、1つ1つの目標に集中していきたいです。」
「エルサルバドルの波はCTのクオリティーの波です。ただ初めてこんな水温の高いところで試合をするので、そこは他の大会と比べて難しいところだと思います。
ラ・ボカナとエル・スンサは乗りづらい波ですが、パワーがある時、今週は波が良さそうなので楽しみです。」
松田詩野
『日本にメダルを持って帰りたい!』
「こっちの波や暑い環境にようやく慣れてきました。エルサルバドルは初めてですが、海水がまだ冷たい日本に比べると、こっちは水も暖かく、波も良い日が続いているので練習が充実しています。」
「高校卒業後は、練習時間に費やせる時間が増えたので、1、2週間泊まりがけで練習していました。こっちにくる直前はトレーナーさんに帯同してもらい、トレーニングとサーフィンを同時にしていきてフィジカル面を鍛えました。こっちは暑い中での試合なのでやってきて良かったです。」
ISAの大会は勝ち上がるヒートがたくさんあるので、体力面にフォーカスしました。コロナ禍で試合はなかったですが、気持ち的な準備ができる時間がありました。」
東京オリンピック選考の条件付き内定で試合を迎える松田は出場権獲得のためのプランについて、
「今回代表枠を勝ち取るというよりはメダル獲得を目指すこと。また今大会は周りのサポートがあって出場できるので、その人達にサーフィンを見てもらいたいです。自分のペースを磨き、集中して試合に臨みたいです。」
「東京オリンピックについては、サーフィンを皆に見てもらえる場所なので、自分ができる事を精一杯していきたいです。」とコメントした。
「今回持ってきたのは、日本でも調子が良ったサーフボードです。エルサルバドルは初めてだったので、大きい波のための長めのボードと小波用のボードをもってきました。」
「日本にメダルを持って帰れるようにするので、エルサルバドルの良い波で良いライディングを届けられるように頑張ります。」と松田は試合の意気込みを語った。
大原洋人
『この大会で優勝し、自分のベストを尽くしたい!』
「日本にいる間はサーフィンの練習よりトレーニングすることにフォーカスしていました。」
「海外の方が試合が先だと予想していたので、海外の波に対応できる体作り、自分が課題としている大きい波の対策に向けたトレーニングをしていました。」
コロナ禍の試合がない中で、一緒に通っているジムのメンバーで試合をしたり、フリーサーフィンで時計をつけて、時間を計りながらサーフィンしていました。 JPSAやジャパンオープンの時も自分の中って試合感が鈍ったとは思っていません。
「今までたくさん海外に行ってきましたが、その中でも難しい波だという印象はあります。皆が言っている通り、波が柔らかかったり、下が砂ではないので、いつも日本でサーフィンしている環境とは違ったりしています。こっちにきて1週間くらい練習していて、来た時よりはそういう波に対応できるようになったと思います。」
後から来た宗像さんにサーフボードを追加で持ってきてもらった大原。
「自分が想像していたサイズより、こっちに来た時は大きく、試合中もサイズが上がる予報になっているので、追加で持ってきてもらいました。試合では今のところ日本で使っていた5’8の長さでやろうと思っています。波のサイズが上がった場合はその持ってきたボードでやる予定です。」
「今大会は普段なかなか戦えないCT選手がいるので、楽しみです。 コロナでどうなるかわからないですが、地元でやる東京オリンピックには絶対出たいです。」と大原は意気込みを語った。
村上舜
『1ヒート1ヒート集中して、この大会で金メダルを獲ることを考えている』
「もうこっちに10日間くらいいて、体のコンディンションも良く、こっちの波に対応できるようになってきているので調子の方は上がってきています。」
2019年ISAワールドサーフィンゲームズの世界ランキング4位の村上舜で東京オリンピック代表選手の有力候補となっている村上は
「有利な状況で戦うことについては考えていません。1ヒート1ヒート集中して、この大会で金メダルを獲ることを考えています。」とコメント。
「特に試合の事は考えず良い波でサーフィンしていました。」 普段通りの練習していたという村上は、拠点の湯河原と、波があれば千葉でサーフィンをしていた。
「エルサルバドルは暑くて、海パンでサーフィンをしていても少し動くと汗かいちゃいます。でも波は凄く良いので、そこに関しては楽しみです。」
「会場が2つあり、どちらの波質も全然違います。そこに関しては対応するのが難しいですが、スンザルはレギュラー方向に長く乗れるパワーがない波です。波もはってこなくてタルイ感じなので、波選びが鍵になります。
メインピークになるボカナの方は、割と岸から沖まで近くてスンザルよりパワーがあるので、その波で最後まで乗れるかがキーになります。」
「サーフボードはこっちに来て色々試しましたが、日本で使って1番調子良いボードを最終的に使おうかと考えています。日本で使用しているので5’8 1/2ですが、スカッシュテールでビーチブレイクでも使えるボードです。」
「東京オリンピックは選手として開催されていたい。東京オリンピックではもちろん金を目指したい。」
オリンピック代表選手40人が決定
『2021 ISAワールドサーフィンゲームス』は、東京オリンピックのサーフィン代表選手を決定づける最終予選になっている。
このイベントは、東京五輪出場をかけて残りの12枠(女子7枠、男子5枠)を決定させ、東京オリンピックに出場する40人が確定する。代表サーファーの内、28人は、2019年のWSL(ワールド・サーフリーグ)CT(チャンピオンシップツアー)の上位者、2019年のISAワールドサーフィンゲームス、およびリマ2019年パンアメリカン競技大会を通じて暫定的にオリンピック出場の資格を取得している。
最大4枠を目指す『波乗りジャパン』の東京オリンピック出場について
【オリンピック出場枠の優先順】
1. 2019年のCTランキングで女子上位8人、男子上位10人 ※但し国別では上位2名まで
2.「2021年ISAワールドサーフィンゲームス」から男トップ5名と女子トップ7名
3.「2019年ISAワールドサーフィンゲームズ」から各大陸 (アジア、アフリカ、オセアニア、ヨーロッパ)の上位4名
男子に関しては、五十嵐カノアが2019年CTランキング6位だったので、暫定的に決定。2021年ISAワールドサーフィンゲームスを出場する事で東京オリンピック選手確定となる。
男子の残り一枠は、現時点で2019年ISAワールドサーフィンゲームズの世界ランキング4位の村上舜が有力候補となっているが、今年のISAワールドサーフィンゲームスの順位が2019年よりも選考基準として優先されるため、大原洋人が男子全体順位5位に入れば、村上の代わりに代表が決定する。つまり大原と村上はこの世界戦でオリンピックの日本代表1枠をかけて争うこととなる。
Photo:ISA/Sean Evans
女子は、松田詩野が2019年ISAワールドサーフィンゲームズで獲得したアジア枠により、条件付きで東京オリンピック出場枠に内定している。2021年のISAワールドサーフィンゲームズで都筑もしくは前田マヒナのどちらかが女子7位以内に入れば、松田とその選手が代表になれる。
しかし、都筑と前田がこの上位7名に入った場合は2021年のISA世界選手権のランキングが優先されるため、その2名にオリンピック出場権が与えられる。一方で、都筑と前田の2名が7位までに入らなければ、日本の女子のオリンピック出場枠は1名となり、松田詩野のみの出場となる。
東京オリンピックのサーフィン代表選手を確定させる世界選手権『2021サーフシティ・エルサルバドル・ISAワールドワールドサーフィンゲームス』は目が離せない。
▼2021サーフシティ・エルサルバドル・ISAワールドワールドサーフィンゲームス
https://isasurf.org/event/world-surfing-games/
2021 Surf City El Salvador ISA World Surfing Games