なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。【季節風(冬)】

2020/11/12 更新
    11月7日立冬を迎え、歴の上では冬になりました。
    朝晩も冷え込み、近畿や関東では木枯らしが吹き始め、北日本では初雪がみられる頃です。稚内では3日に初雪があり、東北でも9日には初雪となりました。

    水温もじわじわ下がってきて、ウエットの範囲が広がりつつ厚くなり、装備も増えて、冬っぽさがどんどん増してくる今日この頃。
    何度も繰り返し経験している季節の移り変わりですが、ぬるい海に逃亡したい気持ちがこみ上げる日々です。こんにちは。気象予報士の塩田久実です。

    さて、以前さらっと「季節風」のお話はしましたが、今回は冬の季節風、極冷のシベリアの寒気が日本を超えて太平洋まで吹き出す風について、少し掘り下げてお話ししたいと思います。

    季節風とは、
    季節で吹き分ける風系で、特に夏と冬で地表面付近で卓越している向きが大きく変わる(反対もしくはほぼ反対)風のこと。
    予想概況文で「寒気の吹き出し」という言葉で表されていたり、天気予報では「寒気が押し寄せてくる」などと耳にすることも多くなるこの季節、まさにこれが、冬の季節風です。

    冬近くになると日常的に耳にしたり目にする「西高東低の冬型気圧配置」という言葉があります。
    西に高気圧、東に低気圧がある気圧配置で、日本付近では等圧線が縦に並び、その間隔が狭いほど風が強く、主に冬に現れるため、冬型の気圧配置とよばれています。
    ちなみに、「南高北低」という夏に多い気圧配置もありますが、このお話はまた別の機会に。

    西高東低の気圧配置は冬以外にもたまにやってきますが、この気圧配置になるとに主に北西風が吹いて、その前後の日よりも気温が低く、空気に角があるというか尖って感じることが多いものです。
    西高東低の気圧配置になると北西~北風がぴゅーっと吹き荒れます。初冬(まさに今)に吹くこの風を木枯らしといいますが、冬の季節風の始まりです。

    ではなぜ、西高東低になるのでしょうか?
    季節の移り変わりには、日射量(太陽からの放射エネルギーの量)が大きく関わります。
    地球は地軸が23.4度傾いているため、日射量は地球が太陽の周りを一周する一年の間に変化しています。
    北半球が太陽の方向に傾いているときには、日照時間が長くなり日射量は増えます。→夏
    太陽と逆方向に傾いているときには、日照時間が短く日射量は減少します。→冬
    日本で一年で最も陽が長い日は夏至(6/22頃)、短い日が冬至(12/22頃)です

    ・西が高い(H)
    冬のシベリアは日射量が少なく極寒です。内陸では夏との気温差が75℃に及ぶ地域もあり、最高気温が-40℃、最低気温は-50~60度以上ということが当たり前の世界です。冷たい空気は重い。重い空気は上空から降りて地上付近に居座ります。そして、容赦なくどんどん降りてくるから地上では空気が濃くなり、気圧が高くなる。ミカン箱の中にミカンがギュウギュウ満タンに入っている時は重い、というイメージ。
    密度の濃い背の低い超寒冷で乾燥した大きなシベリア寒気団(シベリア高気圧)ができあがります。

    ・東が低い(L)
    太平洋の海水温は、陸地の温度変化に比べ、年間を通して大きな変動がありません。水は地面よりも冷めにくく、海面上の空気は比較的暖かい。暖かい空気は軽いため上昇する。どんどん昇っていくので地上付近の空気が薄くなって、気圧が低くなる。ミカンを食べ進め、箱に隙間ができて次第に軽くなるようなイメージ?で、低気圧が発生・発達していきます。

    ↑が西高東低の気圧配置の仕組みです。
    空気は気圧が高いところから低いところへ動くものです。これが風の正体。
    冬季にシベリアで成長した寒気団が満タンになると、極冷の乾燥した空気がこぼれだします。等圧線を見てみると、ほぼ南北に走っていていますが、地球の自転により生じる「※コリオリの力」により、北半球では風の動きが右へズレるため、北西風が卓越するという特徴があります。

    ただし、北西風という確固たる決まりがあるわけではありません。

    日本海側には北西~北風が吹きつけます。
    日本海には黒潮と分かれた対馬海流(暖流)が流入しているため、その上にある寒気(重)と下の暖気(軽)が入れ替わり、上昇気流が発生。海上には雪雲の列が並びます。
    こういった日には、暴風雪&ジャンク&ハードで天気も波も荒れ模様となり、サーフィンどころではなくなりますが、シベリアの寒気が十分流れ出した後は、季節風がやんで、グッドウェーブコンディションの期待ができます。

    また、太平洋側には本州を貫く脊梁山脈を超えて再び乾燥した空気が吹き降ります。
    強く吹き荒れる北西の季節風にウネリが抑えられてしまうエリアも多いのですが、エリアによっては季節風による風波やウネリでサーフィンできることもあります。
    愛知や岐阜付近では山脈がやや低くなっている地形も影響し、冬型の気圧配置になると、静岡沿岸では西風が卓越します。東からのウネリは抑えられがちですが、代わりに西ベースの風波やウネリで出来る日もあります。静岡の外海エリアでは波質はあまり期待は出来ないものの、風をわせるところでは出来る日もあり、また、伊豆や湘南、千葉南部などでも西ウネリの恩恵が受けられます。また、北海道も西風が強いため、西ベースの波が続く日も多いですね。
    それから、和歌山の磯ノ浦などは北西風で弱めながら風波立つ日があります。
    宮崎や千葉、茨城など北寄りの季節風が卓越しているエリアの東向きのポイントは、北ベースの波も♪沿岸では比較的強まらずに、出来る日もあります!
    ちなみに、山を吹き降りる空っ風はフェーン現象で昇温しているのですが、もともとが-10℃以下だったりするため、ちっとも暖かくありません。寒風。
    日毎寒さが募る頃ではありますが、防寒準備もしつつ、ウネリの素はもちろん季節風だけではありませんし、冬の波も楽しめるとよいなあと思います。

    ※コリオリの力→地球の自転速度が緯度によって異なるために、北半球では右向き、南半球では左向きに働く見せかけの力。

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